小豆に宿る力 ― 日本の暮らしを支える赤い豆
小豆(あずき)は、日本で古くから食べられてきた、赤くて小さな豆です。
その鮮やかな赤色には邪気を払う力があると信じられ、古来より魔除けや厄除けの象徴とされてきました。
そのためお正月や節句、祝いの席、季節の行事など、特別な日に用いられる食材として、長く人々に親しまれています。また、小豆は栄養価にも優れており、江戸時代には脚気(かっけ)の予防や回復のための薬としても用いられ、人々の健康を支える自然の力として、昔から大切にされてきた食材です。
このように、小豆はその色やかたちに込められた意味だけでなく、身体を整える力でも、昔から私たちの生活に寄り添ってきた、歴史ある豆なのです。

美味しい小豆の見分け方
美味しい小豆を選ぶ際は、次の点に注目しましょう。
- 粒の大きさがそろっているもの
- 虫食いや傷がなく、ツヤとハリがあるもの
- 収穫後1年以内のものを選ぶのがおすすめ
粒の大きさが均一だと品質が安定しており、煮たときにムラなく仕上がります。
表面にツヤと弾力がある小豆は新鮮な証拠です。虫食いや傷のあるものは避けましょう。
賞味期限だけでなく、できるだけ新しい小豆を選ぶことで、風味や栄養をより良い状態で楽しめます。
お店で小豆を買うときは、これらのポイントをチェックして、新鮮で良質なものを選ぶことが美味しく仕上げる秘訣です。
小豆の基本の煮方(ゆで小豆)
1.軽く水洗いする
汚れを落とす程度にサッと洗います(浸け置き不要)
2.鍋に小豆と3倍の水を入れて強火にかける
3.沸騰したら茹でこぼす(アク抜き)
一度ザルにあけて煮汁を捨て、再び同量の水を加えて煮直します。
4.沸騰後、中〜弱火で煮る
アクが出たら取り除き、煮汁が減ったら水を足します。
5.1時間10分〜1時間30分ほど煮る
お好みのやわらかさになればOKです。
※硬いうちに砂糖を加えると柔らかくならないので注意。
小豆はご家庭で茹でるのも良いですが、ゆで時間1時間以上とかなり長いため、ゆであずき缶を購入するのもおすすめです。
スーパーにも、無糖のゆであずき缶や甘さ控えめのあずき缶、ゆであずきのパウチも売っているので、料理に使用すると“時短”になります!
レシピはこちら!👉あずきとトマトのスープ

保存方法(乾燥小豆)
- 湿気に弱いため、密閉容器に入れて保存しましょう。
- 涼しくて暗い場所で保管してください。
- 乾燥剤を入れたまま保存するのがおすすめです。
- 保存期間は1年以内が目安です。
それ以上長く保存する場合は冷蔵庫や冷凍庫での保存が安心です。
密閉は必須です。
紙袋の場合は外側をポリ袋で覆い、虫の侵入を防ぎましょう。
また、米や小麦粉など他の穀物とは別に保管してください。
虫が移るのを防ぐため、それぞれ密封容器に入れるのが良いです。
虫よけとして、乾燥したとうがらしや市販の虫除けを利用すると効果的!

小豆の栄養素と健康効果
食物繊維
小豆には不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
- 腸を刺激してぜん動運動(腸の動き)を活発にし、便通を促す働き・体内の老廃物の排出
- 腸内環境が整って、免疫機能の向上
カリウム
- 血液の循環が良くなり、血液がサラサラになる・動脈硬化や心疾患の予防
鉄分
赤血球の材料となります。
- 貧血を防ぐ・酸素を全身に運ぶ力を高めるため、疲れにくく元気な体をつくるサポート
- 女性には特におすすめの栄養素
ポリフェノール
小豆の赤い皮の色は、アントシアニンというポリフェノールによるものです。
皮に感じるほのかな苦味は、サポニンというポリフェノールの一種によるものです。
- 利尿作用のほか、血中の余分なコレステロールを体外へ排出する働きがある
まとめ
- 古くから縁起物・魔除けの豆として親しまれ、行事食に使われてきた
- 不溶性食物繊維・鉄分・カリウム・ポリフェノールが豊富
- 腸内環境を整え、便通改善・貧血予防に効果が期待できる
- 美味しい小豆は、ツヤ・粒のそろいが目印
- 保存は密閉容器で冷暗所に。虫よけ対策も忘れずに!
- ゆで小豆は時間がかかるため、市販の無糖缶詰やパウチも便利
参考文献
- ユニー株式会社.” やまぐち食の安心・安全メール第191号アピタ・ピアゴの毎日おいしいごはん”.ユニー株式会社.リンク(2025-7-9).
- 池上文雄,加藤光敏,河野博,三浦理代,山本謙治.”あずき”.からだのための食材大全.NHK出版,2024,p196
- 北海道十勝森田農場.” 保存 – 小豆・大豆などの保存方法について”. 北海道十勝森田農場.リンク(2025-7-9).
- ホクレン農業協同組合連合会.”まめぐらし 北海道beans 小豆の煮方”. ホクレン農業協同組合連合会.リンク(2025-7-9).
- 中村丁次. “食物繊維を知る“.もっとキレイに、ずーっと健康 栄養素図鑑と食べ方テク.朝日新聞出版,2022,p220-221