スーパーやレストランでよく見かけることの多い「かじき」。一般的に「カジキマグロ」と呼ばれることもありますが、実はまぐろとは別の種類の魚です。

日本近海には6種類のかじきが生息しており、中でも味が良いとされる「マカジキ」は、淡い紅色の美しい身が特徴です。クセが少なく、刺身やステーキなど、さまざまな料理に使えるかじきは、栄養も豊富な万能な魚です。
今回は、かじきの特徴や栄養素、おいしい食べ方をご紹介します!
ぜひ、日々の食卓に取り入れてみてください。
カジキマグロはマグロの仲間?
「カジキマグロ」という名前は流通名として使われることもありますが、分類学的には「マカジキ」や「メカジキ」と呼ばれる、まぐろとは別の魚です。
【カジキとマグロの違い】
・マグロは「サバ科」、マカジキは「マカジキ科」、メカジキは「メカジキ科」に分類。
・見た目も異なり、長く伸びた「くちばし」のような上あごがあります。
・かじきは水中でも屈指の速さを誇り、俊敏に泳ぐことで知られています。
その速さは、餌を捕まえたり敵から逃げるのに役立っています。
このように名前は似ていますが、かじきはまぐろとは別の魚であり、速さや特徴でも大きく異なる存在なのです。
~カジキとマグロの比較~
かじきをおいしく食べるために
新鮮なかじきを選んで、よりおいしく長く味わいたいですよね。
そこで、スーパーでよく見かける切り身のかじきを選ぶ際に、チェックしたいポイントを3つご紹介します。

【かじきの選び方】
スーパーでよく売られているのは「メカジキ」と「マカジキ」の切り身です。
ほとんどの方は切り身で購入すると思うので、選び方のポイントを押さえておきましょう。
① 見た目の色とツヤをチェック
・メカジキは白っぽいピンク色で、ツヤのあるものが新鮮です。黄褐色に変色しているものは鮮度が落ちているので避けましょう。
・マカジキの切り身は赤みがかった薄紅色で、ツヤがあるものがおすすめです。本マグロの赤身よりも朱色がかった色合いが特徴です。
・解凍品は鮮度が落ちやすいため、できれば生のもの、もしくは新鮮な冷凍品を選ぶのがおすすめです。
② 身の張りを確認する
身にしっかりと張りがあるものは鮮度が良い証拠です。触って柔らかすぎるものは鮮度が落ちている可能性があります。
③ 血合いの色を見て選ぶ
血合いがついている場合は、鮮やかな赤色のものを選びましょう。黒ずんでいるものは鮮度が低いサインです。
【かじきのおいしい食べ方】
クセが少なく、和食にも洋食にもよく合う「かじき」は万能食材です。
ここでは、かじきをよりおいしく味わうための下処理のコツと調理法のポイントをご紹介します。

★ 下処理のポイント
① 軽く塩をふって身を引き締める
かじきは脂が多くやわらかいのが特徴です。調理前に軽く塩をふることで、余分な水分や臭みが取れ、身が引き締まって調理中に崩れにくくなります。
【手順】
1.切り身の両面に、全体がうっすら白くなる程度に塩をふります。
2.そのまま10〜15分ほど置きます。
3.表面に浮いてきた水分をキッチンペーパーでやさしくふき取ります。
② 酒をふって臭みをやわらげる(必要に応じて)
かじきは比較的クセの少ない魚ですが、においが気になる場合は料理酒を使った下処理がおすすめです。
【手順】
1.切り身に軽く料理酒をふりかけ、数分置きます。
2.キッチンペーパーで水気をしっかりふき取りましょう。
これにより臭みが抑えられ、すっきりとした味わいになります。ちょっとした下処理の工夫で、かじきがさらにおいしくなり、調理もしやすくなります。
火加減に注意
かじきは加熱しすぎるとパサつきやすいため、「サッと火を通す」のがポイントです。中心まで火を通す必要はありますが、強火で一気に焼くのではなく、中火〜弱火でじっくり加熱するのがおすすめです。
★ かじきのおすすめ調理法
メカジキやマカジキの切り身は、幅広い料理に活用できます。
以下のような調理法で楽しんでみてください。

♦和食におすすめの食べ方
・照り焼き:甘辛いタレがよく絡み、ご飯が進む定番メニューです。
・煮付け:生姜を効かせてさっぱりと仕上げます。骨が少ないので食べやすいのも魅力です。
・漬け焼き:味噌や醤油だれに漬けてから焼くと、味がしっかり染み込みます。
♦洋食におすすめの食べ方
・フライ:衣をつけて揚げると、ふっくらジューシーな仕上がりに。
・ステーキ:シンプルに塩・こしょうで味付け。レモンやバターとの相性も抜群です。
・バターソテー:にんにくやハーブと一緒に炒めると香り豊かになります。
中でもおすすめなのが、香ばしいにんにくの香りが食欲をそそる「かじきのガーリック炒め」です。シンプルな材料で手軽に作れる人気の一品です。
レシピはこちら!👉かじきのガーリック炒め
かじきに含まれる注目の栄養素
かじきには、体にうれしい成分が豊富に含まれています。代表的なのは、DHA、カリウム、ビタミンD、旨味成分のグルタミン酸です。
① DHA(ドコサヘキサエン酸)
脳や網膜の重要成分で、記憶力や視力維持に役立ちます。血管を柔軟にし、血流改善や動脈硬化予防にも効果的です。
② カリウム
余分な塩分を排出し、血圧上昇を抑えるミネラル。日常のミネラル補給や減塩対策に適しています。
③ ビタミンD
カルシウム吸収を助け、骨や歯を丈夫にします。免疫力の維持や肌の保湿にも関わります。
④ グルタミン酸
旨味成分として知られるアミノ酸。肝機能サポート、疲労回復、脳の活性化、リラックス作用(GABA生成)など多彩な働きがあります。
ここまで、かじきの栄養や選び方、おいしい調理法をご紹介してきました。最後に、ポイントをおさらいしてみましょう。
まとめ
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【おいしいかじきの選び方】
- メカジキ:白っぽいピンク色でツヤがあるもの
- マカジキ:赤みがかった薄紅色でツヤがあるもの
- 身に張りがあり、血合いは鮮やかな赤色のもの
※黄褐色や黒ずみは鮮度低下のサイン。解凍品より生や新鮮な冷凍品がおすすめ。
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【主な栄養素と健康効果】
- DHA:脳・目の健康を守り、血流を改善
- カリウム:塩分排出で血圧安定
- ビタミンD:骨・歯を丈夫にし、免疫力もアップ
- グルタミン酸:疲労回復、脳活性化、リラックス効果
※加熱は短時間で行うと栄養を保ちやすい。
参考文献
- みなとの野菜大辞典. ” 「カジキ(梶木)」なのに切り身が店頭に並ぶと“カジキマグロ” みなとの野菜大辞典. リンク(2025-5-28).
- デリッシュキッチン.” かじき(カジキ)とはどんな魚?おすすめレシピもご紹介”.デリッシュキッチン. リンク(2025-5-28).
- Fish Kitchen – ニッスイ.”お魚 豆知識 ~かじき(旗魚)”. Fish Kitchen – ニッスイ. リンク(2025-5-28).
- わかさ生活.”わかさの秘密 DHA”.わかさ生活. リンク(2025-6-2).
- わかさ生活”わかさの秘密 カリウム”.わかさ生活.リンク(2025-6-2).
- わかさ生活”わかさの秘密 ビタミンD”.わかさ生活.リンク(わかさ生活”わかさの秘密 カリウム”.わかさ生活).
- わかさ生活”わかさの秘密 グルタミン酸”.わかさ生活.リンク(2025-6-2).
- 東京都島しょ農林水産総合センター.”カジキマグロという魚はいない マグロとカジキ”. 東京都島しょ農林水産総合センター.